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2015年7月6日月曜日

「民事もやるんですか?」

私の所属する事務所は、刑事事件を中心に扱っています。
すると、たくさんの人から、この質問をされます。

「民事もやるんですか?」

特に、私が刑事事件に力を入れていることを知っているほかの弁護士や、裁判官、検察官などからも聞かれることがあります。

やってます!笑

もちろん、ホームページをご覧になってお問い合わせをいただく方はほとんど刑事事件のご依頼です。しかし、刑事事件を担当したことで信頼いただき、その方から民事事件のご依頼を受ける例のほか、事務所事件とは別に個人として依頼を受ける事件など、相当数の民事事件も取り扱ってきました。
その中で、刑事事件の経験が民事事件にも生きるなあと思うことが多々あります。

ひとつは、交渉力です。
刑事事件の弁護活動では、たくさんの交渉を行う必要があります。
被害者との示談交渉。検察官との交渉。
そして、その交渉は、通常、マイナスから始まります。
依頼人は拘束され、刑事処分が迫っています。
場合によっては足元を見られるような交渉になりがちです。
そのなかで交渉を行うには、的確に先を見通し、交渉する相手の気持ちを考え、お互いにプラスになるような解決をできるよう、交渉に臨むことが必要です。こうした力が、事件を通じて鍛えられます。
民事事件も、相手との交渉になることがあります。民事事件では、こちらにも有利な材料が多い場合も多いです。刑事事件で培った交渉力が役に立つと感じられることが多々あります。

もうひとつ重要なのは、尋問技術です。
刑事事件では、常に証人尋問に直面します。
刑事裁判では、証人尋問が当事者の立証活動の中心になることが多いです。私たちは、事件を通じて、常に証人尋問を行っています。
また、刑事裁判に勝つため、事件の外でも尋問技術のトレーニングを行っています。
民事事件でも、証人尋問をおこなう事件があります。私も何件も経験しています。
このとき、刑事事件で鍛えられた証人尋問技術ほど頼りになるものはありません。
民事事件も、刑事事件も、証人尋問の本質は変わりません。むしろ、証人尋問の比率が大きい刑事裁判で鍛えられた尋問技術をもつ弁護士は、相手にとって脅威といえると思います。

このように、刑事事件の経験が民事事件にいきる場面は多くあります。
一方で、やはり、同世代の弁護士よりは民事事件の経験数は少ないので、私などはどうしても民事の知識の豊富さでは勝負できません。
知識の足りなさは、その都度事件を受けた時に、いつも以上にしっかりと調査することを心がけています。
そして、刑事事件で培った自分なりの武器をもとに、民事事件の弁護もとりくむようにしています。

最近気づいたのは、民事事件もとても魅力的な仕事ですね。
依頼人とともにあれやこれやと話しながら、いろいろな解決方法を模索するというのは、創造的でやりがいのある仕事だと思います。