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2015年5月23日土曜日

「勉強や研究」

「実務に出ると、司法試験で勉強したことなんて忘れちゃうよね」

こういうことをいう弁護士がいるやに聞きます。
実務に出ると、日々の事件に追われます。日々の事件は、司法試験で勉強したような、法律の細かい解釈や判例の解釈を必要としない事件がほとんどです。だから、冒頭のような言葉が聞かれるのでしょう。

しかし、私は、絶対にそういう実務家にはなりたくありません。
私自身も、じゃあすべて司法試験の知識を覚えているかといったら絶対にそんなことはありません。忘れている部分もあります。ですが、それを当然とするのではなく、日々法律的知識・思考力の向上や、日々出される裁判例・判例のキャッチアップに務めたいと思っています。

この土日を使って、日本刑法学会大会に来ています。
刑事法の研究者の先生方、裁判官などが研究を報告されました。
刑事法概念の本質にさかのぼったきわめて学術的に興味深い研究や、裁判員裁判と刑法理論の架け橋といったような実務に大きく関係する問題まで、非常に充実した時間を過ごせています。

これまでたくさんの刑事事件を経験する中で、司法試験で勉強したことや、実務に出てから勉強したことが、本当に役に立っています。
それが法廷で武器になることを実感しています。
法廷で起こっていることが適切なことか、法廷に出された証人の尋問や証拠が適切なものかは、法律の条文、その解釈を述べた判例を理解していなければ、判断できません。
知識を忘れながらでも、勉強を怠りながらでも、慣れてしまえば「できてしまう」のかもしれませんが、ベストな弁護からはほど遠いものとなってしまうでしょう。

今後も、日々の事件に全力を尽くすことはもちろん、ベストな弁護をするための勉強や研究にも力を入れていきたいと思っています。

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