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2014年10月30日木曜日

「裁判員裁判のインパクト」

裁判員裁判に関する論考を期待した方、ごめんなさい。

再び、イベントの宣伝です。

平成26年11月3日(月・祝) 13:00~16:00
専修大学 神田校舎 7号館3階 731教室
シンポジウム「裁判員裁判のインパクト -実施5年後の現状と今後のあり方-」
が開催されます。
http://www.senshu-u.ac.jp/fsis/gakubunews/_12327.html


このイベントは、専修大学の法社会学の授業の一コマとして行われるものです。
当日専修大学は学園祭のようで、それに合わせて一般の方も参加できるよう、授業を開放して拡大授業を行うということです。
私は「裁判員裁判を担当して -司法へのインパクト」という題目で簡単な講演を行い、その後、実際に裁判員を経験された市民の方とディスカッションを行います。
一般公開の講義ですので、ご興味のある方はぜひおこしください。

裁判員裁判が市民社会・司法にどのようなインパクトを与えたか、また与えるべきかは、当然私にも持論があります。
しかし、私が弁護士になった時には、すでに裁判員裁判はありました。
裁判員裁判開始前の裁判は、厳密には知りません。裁判員裁判の前は、今まで以上に、日本の刑事裁判は「絶望的」だと聞いていました。その絶望を味わったこともありません。
ですから、今回のテーマで講演をするには、私には役者不足なのではないかと、本音のところは思わないではありません。

しかし、先輩から「昔はこうだった」という話をたくさん聞いてきました。裁判員裁判以外の事件では、従来通りに近い裁判が今でも行われています。そういった事件も、もちろんたくさん経験してきました。旧態依然とした扱いを受け、憤ったこともありました。
そして、裁判員裁判の法廷をたくさん経験してきました。同世代の弁護士としては、もっとも多い部類だと思います。そのどれもが、ワクワクする法廷でした。戦いがいのある法廷でした。

そういった経験を踏まえながら、イベントの趣旨に沿った役割を果たしてこようと思います。
 

2014年10月24日金曜日

「ホームページリニューアル」

当事務所のホームページをリニューアルしました!


http://www.t-defender.jp/


これまでのホームページは,5年ほど前に作成されたものでした。
僕自身,前のホームページは前のホームページで味があって好きだったのですが,見やすさや内容など,一般の方々にご覧いただくには改善点が多くありました。
大幅なリニューアル作業をこの間進めており,昨日の夜くらいから,一般公開しております。


当事務所は,今後も,あらゆる刑事事件に精通した事務所として,すべての依頼人のために全力を尽くします。
また,変わらず,複雑困難事件や裁判員裁判事件も積極的に担っていきます。


当事務所を今後ともよろしくお願い申し上げます。

2014年10月20日月曜日

「法科大学院」

私は「法科大学院」の出身です。
大学卒業後、法律家になるための専門的知見を養う学校です。
現在の制度は、原則としてこの学校を卒業した後、司法試験をうけることになっています。
この法科大学院、しばらく前までは存在しませんでした。
2004年に第1期生が入学し、ようやく10年が経過したという段階です。

法科大学院制度の是非については議論があります。
弁護士を含む法曹人口の増加の問題と関連して、反対論も少なくありません。
法科大学院の志望者が少なくなっているという現状もあります。
私自身も、この問題に関する意見を持っています。
私は、法科大学院制度には賛成です。
法科大学院の教育は、より優れた、豊かな考えを持った法曹を生み出す土壌になると思っています。

もちろん、議論に答えは出ていません。
法科大学院制度がどうなっていくかは、今後も議論され、検討されるべき問題でしょう。

しかし、ひとつだけ、私にも確実に言えることがあります。
それは、法科大学院がなければ、今の私はいないということです。
私は、法科大学院の充実した教育によって生み出された弁護士です。
法学部の授業や予備校の授業も経験しました。
法科大学院の教育は、それらとは比較にならないほどすばらしいものでした。
私の法的知識・能力のほどんどは、法科大学院で養われたものでした。
実務家にも触れ、法律家になることの社会的な意味について考えさせられました。
自分が優秀な弁護士だとうぬぼれるつもりはありませんが、少なくとも、刑事弁護に対する信念は人一倍強いと自負しています。そのような「心」を育てたのも、法科大学院でした。

このような体験を語る機会をいただけることになりました。
平成26年10月25日午後1時から
明治大学・駿河台キャンパス・リバティタワー2階1022教室にて
「今,なぜロースクールで学ぶのか 法科大学院がわかる会」
というイベントに登壇します。
http://lskyokai.jp/event/20141014.html
このイベントは、司法試験をめざす学部生向けのイベントです。
司法試験を目指す学部生は、「予備試験」などの選択も与えられる中、進路について悩んでいる方が多いかと思います。そういう学部生に、法科大学院の魅力を伝えるイベントです。

私は、法科大学院時代の恩師というべき刑事訴訟法の先生と、その教育を受けた生徒2名(私含む)での対談を行います。
短い時間ですが、法科大学院教育の魅力について伝えられればと思っています。
また、後半の部において、出身である一橋大学法科大学院のブースにて、質問を受け付けます。

このブログをご覧の皆様に、司法試験志望の学生がいらっしゃいましたら、ぜひお越しください。
ご家族ご友人に司法試験志望者の方がいらっしゃる方、ぜひおすすめください。

2014年10月11日土曜日

「寄稿」

今月発売の法学セミナー11月号に寄稿しました。
http://www.amazon.co.jp/%E6%B3%95%E5%AD%A6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC-2014%E5%B9%B4-11%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B00NQBJXZS/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1412995900&sr=8-1&keywords=%E6%B3%95%E5%AD%A6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

法学部の学生や、法科大学院の学生を主な対象として、刑事弁護の魅力を語る企画です。
大御所たちに混じって、私は刑事弁護士を志した体験談のようなものを投稿させていただいています。
このブログのはじめに私がなぜ刑事弁護をやるのかということについて書きましたが、その原点となるエピソードをつづっています。

私の投稿よりもっと読みごたえがあるのが、その他そうそうたる執筆陣による寄稿です。
当事務所の前田弁護士、坂根弁護士も執筆しております。
刑事弁護の魅力が十分に伝わる特集になっています。

ご興味のある方は、ぜひ手にとってご覧ください。

2014年10月5日日曜日

「ルール」

世の中にはたくさんのルールがあります。
ルールは時に「~してはいけない」というかたちをとり、我々の自由を制約します。
このルールは明確でなければいけない、というお話です。
明確な「~してはいけない」というルールは、逆に我々の自由を守る役割を果たします。

たとえば、「20歳未満の人はお酒を飲んではいけない」というルールがあります。
このルールによって、未成年はお酒を飲むことが禁じられました。
僕はお酒にずっと興味があったので、20歳でのルール解禁を心待ちにしたものです。
しかし、20歳になってしまえば、このルールによって、逆にお酒を飲む自由が保障されます。20歳以上であれば、体が悪かろうが、酒癖が悪かろうが、お酒を飲むこと自体は誰にも妨害されないのです。
「精神的に未成熟な人はお酒を飲んでいけない」というルールだったらどうでしょう。
妻から「あんたは中身が子供なんだからお酒はダメ」と、いわれのない迫害を受けるかもしれません。
本来お酒を飲んでまったく問題ない大人が、「僕はお酒を飲んでいいほど精神的に大人だろうか」と委縮してしまうかもしれません。
政府が、ある特定の団体に入っている人は未成熟だという通達を出して、自由を制約しようとするかもしれません。「特定の地域に住んでいる人」かもしれないし「特定の宗教を信仰している人」かもしれません。「特定の性別の人」「特定の政党の人」・・・解釈についての通達の名のもとに、個人の自由が侵されていくかもしれません。

明確なルールは、人の自由を守ります。

実はこの話は、法律家であれば全員が学んだことのある原則を言い換えたものでした。
「罪刑法定主義」といって、刑罰を科すときには法律による明確な根拠がなければいけない、という原則です。
刑法は、さまざまな行為を処罰の対象としています。しかし、それは同時に、書かれていないことは絶対に処罰の対象にならないことを示します。したがって、それが明確に書かれている限り、刑法は人の自由を守っているといえるのです。